夏アニメの「乱歩奇譚 Game of Laplace」、まあまあ楽しく見ていますが、江戸川乱歩のオリジナル作品に登場するモチーフがいろいろとアレンジされているので、元ネタをリストアップしてみました。
第1話〜第2話:人間椅子
作中では文字通りに殺された女子高生達の死体で作った椅子にされてしまいましたが、元ネタは、「椅子の中に入った人間が座った女性の感触を楽しむ、という変態さんのお話」です(と思って読むと楽しめますので、ぜひご一読下さい)。オチの教卓の椅子の方が、オリジナルのモチーフに近いですね。明智小五郎が出てこない、江戸川乱歩の初期短編です。
第3話:影男
作中では紙袋を被った「変装の達人にして希代の怪盗」で「少女好きの変態」さんでしたが、元ネタは冒険家、地主嫌貿易会社社長、遊蕩紳士、謎の小説家など、多くの顔を持つスーパーマンです。
紙袋(英語ではPaper sack)を被るというのは、アメリカでは古くから主に「恥ずかしくて顔を見せられない」というとき行われていますね。下のリンク先は1973年のスヌーピー原作ですが、野球ボールみたいになってしまった頭を隠すためにチャーリーブラウンが紙袋を被っています。そういえば夏アニメがらみで、アクエリオンEVOLにも紙袋ちゃんがいましたね...。
Laugh Tracks: (Charlie) Brown, Paper Sack
第4話:怪人二十面相
作中では無罪になった犯罪者に天誅を加える「殺人者」でしたが、元ネタは人殺しの嫌いな、美しいものを集めるのが生きがいの大怪盗です。少年探偵団シリーズの名敵役ですね。
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第4話:黒蜥蜴
作中では拘禁中の変態情報屋さん扱いされていましたが、元ネタでは人間の剥製コレクションをしている恐い女盗賊です。乱歩奇譚の「人間椅子」は、こちらからの発想でしょうかね?
第5話:芋虫
作中では惨殺された妹の復讐のために緩慢な死を与えられている殺人犯でしたが、元ネタは戦争で四肢、のど、聴力などを失い、感情を表現する手段がほとんど無くなってしまった夫と、その世話をする妻の悲しくもつらいお話です。限られたコミュニケーションの手段であった目が潰されてしまうのは、クライマックスになってから。2010年公開の『キャタピラー』という映画の原案にもなっています。
また追記していきます。