7話もやっぱりおもしろかったですね!当初はただの小悪党ちょいキャラかと思っていた赤い子(杏子)も、しっかりした個性と説得力のあるその背景に、好感度がうなぎ昇りでした。でもなにより良かったのはやっぱりさやか!いやあ、けなげすぎですよ、この子。そしてその真っ直ぐさがまたまぶしい。杏子のお涙頂戴な身の上話を一刀両断したところは、杏子の反応もあわせてキャラクター造形の確かさにあらためて感心しました。
さてここまでいろいろとオチを妄想したりもしてきましたが、残りの尺を考えるとあまり複雑な裏設定は出てこないかもしれませんね。7話までの流れをみても、安易な血だまり展開は今後それほどなさそうな気がします(杏子とさやかの安全はまだ楽観視できませんが...)。当初は1話アバンの魔女がラスボスで、魔女化したさやかなのかなあ、とも思っていたのですが、今回を見ると、魔女化含めてその可能性は下がったかなあ、と感じます。
ラスト近くで仮面の笑顔と血の涙を流しながら語られる「ホントだ! その気になれば痛みなんて完全に消しちゃえるんだ!」あきらかに「心の痛み」もかけられている、文字通りには解釈できない本当に悲しいセリフですが、直前のまどかとのやりとりまでも考慮に入れると、これは逆にさやかが魔法少女としての運命を完全に受け入れた(ふっきれた、あきらめたとも言えますが)ことを示している、ある意味前向きなセリフとも言えるんじゃないかとも思えるんです。そんなようやく心の整理がついた矢先に黒化されたり、死んだりしたら...(´;ω;`)ブワッ。虚淵さんそこまで私たちをいじめないでください...。
さて、そんなことを思いながらまどかに目を向けると、本当に空気みたいになってきてしまいましたね。なんだか既にキュゥべえにもスルーされてるような...。ちょっと試しにここまでのストーリーラインをそれぞれさやかとまどかを主語にして書き出してみました。
話数 | さやか | まどか |
---|---|---|
1話 | キュゥべえ、マミ、ほむらと出会う | キュゥべえ、マミ、ほむらと出会う |
2話 | 魔法少女システムについて学ぶ | 魔法少女システムについて学ぶ |
↓ | マミの戦闘に立ち会う | マミの戦闘に立ち会う |
3話 | マミの死に立ち会う | マミの死に立ち会う |
↓ | 助けに来なかったほむらを誤解する | ほむらが助けに来られなかった経緯を知る |
4話 | 魔法少女になる | 仁美の命を救うためにバケツを投げる |
↓ | 初陣でまどか、仁美の命を救う | 魔法少女になったさやかに命を救われる |
5話 | 契約の是非を自問自答する | ほむらに相談する |
↓ | 杏子とバトルになる | さやかの死闘に立ち会う |
6話 | 魔法少女とはなにかを自問自答する | ママに相談する |
↓ | まどかに殺されかけて既に死んでいることを知る | さやかを殺しかけて既に死んでいることを知る |
7話 | 杏子とわかり合う | ほむらに相談する |
↓ | 魔法少女としての運命を受け入れる | さやかの死闘に立ち会う |
これじゃあキタエリが言うとおり、ほとんど「魔法少女さやか☆マギカ」ですよう。よく言って「まどかという少女を通してみた魔法少女さやかの物語」になっちゃってます。
でもやっぱりこの物語「魔法少女まどか☆マギカ」なんですよね。この物語を構成する対立構造としては、
まどかと契約したいキュゥべえ vs. まどかの契約を阻止したいほむら
という極太の存在が1話から通してまどかを挟んでどっかりと対峙していまして、このこと一つで、この物語の主人公がまどかであることを示しています。
さらに、今回緑の子(仁美)がさやかに恋の宣戦布告をしたことで(さやかの背中を押すためのブラフの側面が強そうですが...)、もう一つの対立構造が明らかになってきました。すなわち
魔法少女になった同級生(さやか)vs. 魔法少女を知らない同級生(仁美)
です。これはちょうど、
契約したまどかの分身 vs. 契約しなかったまどかの分身
に相当するんですね。この両者が恭介という「現実社会における人間としての幸せ」を争うことで、
まどかの契約に対する決断が影響を受ける
という展開がくるのが作劇上の常道なんですが、それにしては仁美のキャラ立てがちょっと不足かなあ、とも思えてしまうんです。まどかを挟んでバランスがとれていないんですよね。この作品が「魔法少女さやか☆マギカ」っぽくなってしまっている、もう一つの理由がここにあるような気が。
さやか並は無理だとしても、仁美の描写をもう少し丁寧にしておいて、二人の力関係をそれなりに拮抗させてから今の展開に持ち込めば、もう少しかたちが整ったのですけど、いかんせんここまでの尺の使い方からするとそれも難しそうです。7話のここまで、ほとんど無駄なシーンが思い浮かびませんもん。こんな感じで制作側が既にバランスをさやか側に傾けていることから、今後まどかは契約する可能性のほうがやっぱり高いような気がします。
あとはまどかがもうちょっと主体的に行動してもいいのかなあ。数少ない主体的な行動として、まどかは何度かさやかを守るようほむらに頼んで断られていますが、役に立たないことが分かっていながらまどかがさやかのパトロールに着いていっているのは、間接的にほむらにさやかを守らせることになっているんですよね。このあたり、意図してやっていることにしたら...まどかの天使性が損なわれちゃいますかね?
まあなにはともあれ、さやかと仁美の「代理戦争」。そのゆくえと、それをまどかがどう受け止めるのか?次回も楽しみです!