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Angel Beats!

Angel Beats! 7 【完全生産限定版】 [Blu-ray]夏アニメが一巡してきたので、そろそろほとぼりが冷めたのではないかと読んで、こちらも採り上げてみます。2010年春の話題作No.1は、文句なくAngel Beats!でしたね!当世エロゲの脚本と言えば、の麻枝准(私個人としてはエロゲなるものを一つもやったことがないので番宣で初めて知った名前でしたが)と、当世ギャグアニメの監督と言えば、の岸誠二が組むということで、新聞全面広告やら特別番組やらの事前猛プッシュもあって、放映開始までは一同期待度Maxだったわけです。が、風呂敷を開けてみれば...本スレの伸びもアンチスレの伸びも尋常ではありませんでした。いやあ、私もなんだかんだでかなり楽しませていただきましたよ...といっても毎回視聴後にアンチスレでツッコミを入れる方面で、ですが。徹底的なまとめwikiを読むだけで一目瞭然な、「〜な気がしたけどそんなことなかったぜ」のオンパレードの支離滅裂な破綻具合もすごかったですが、毎週毎週ぽろりぽろりと信者が脱落してアンチスレに引っ越してくるのを眺めているだけでもなかなか乙なものでした。
 なぜこれだけの騒ぎになったのか考えてみましたが、結局のところ、いろいろなところで目にする「Angel Beats!はアニメのケータイ小説だ」という評価につきるのでしょうね。名前も覚えきれないほど登場したSSS団の面々ですが、キャラ立てというもの自体を勘違いしているせいもあって脚本の都合で毎回いきあたりばったりの行動をとる典型的な人形キャラばかりでした。活き活きしていたのは安心の中の人と「音無LOVE!」が終始徹底していたネタキャラのはずの直井(CV:緒方恵美)くらい。アジ天使な天使ちゃん(CV:花澤香奈)も、本編中の大部分はオウム返ししかしないNPC中のNPCでした。こういうキャラ達がさらに設定を無視する脚本家の思いつきで行動していくわけですから、それは毎週先が読めないのは当然なのですが、信者とアンチを分けるのはまさにこの点への評価にあるのでしょう。読書経験とか人生経験とかがまだあまりない若い層は、物語進行やキャラの心理の断絶に疑問を感じることなく、要所要所に配置された感動ポイントなりギャグパートなりを素直に消化できるのに対し、多様な人間の行動原理に触れたことのあるそれなりに経験を積んだ層は、現実でもそれに準ずるフィクションの世界でもありえない行き当たりばったりの展開にまず第一に反感を覚えてしまい、中身にまで気持ちが入っていくことはない、という感じかと。レストランでコース料理を頼んだら、ボンカレービッグマックとカップヌードルが順番に出てきたみたいな。個々のメニューはそれぞれ嫌いではないし、お子様達は大喜びで食べるだろうけど、レストランで出す料理にはなってないだろ、と大人が怒っている感覚です。
 もちろんこんな風に感性の違う二つの層が存在することは至極当たり前のことで、誰もが通る道ですから若い層の感じ方を否定するものではありません。こんな状況に、
・アニメが子供だけのものでなくなった
・ネット経由のコミュニティの発達
の二要素が加わると、今回のAngel Beats!旋風になるのでしょうね。以前なら上記二層が直接交流する場面は普段ほとんどなかったわけですから、若い層は素直に作品を面白がり、悟った層は「あれは子供向け」と見向きもしなくてそれで済んだわけです。しかし今日では老いも若きも一つのアニメ作品を鑑賞し、2chなりTwitterなりの年齢層が表に出ないコミュニケーションの場で直接感想をぶつけあうようになりました。CDの売り上げなどを見ていると、制作側はそんな環境をうまく利用して話題作りに成功した、ということなのでしょう。ただ単価の高い映像パッケージを購入するのは年齢高めに寄っているでしょうから、今後の売れ行きはどうなるかわかりません。その辺の推移も含めて、終わった後も楽しませてくれる作品です。