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とらドラ!(その2)

とらドラ! Scene2(初回限定版) [DVD]さて、前半のクライマックス生徒会長選挙編の15話、16話です。表向きは祐作回ですが、シリーズ内での位置づけとしては、大河の祐作への恋の終わりと、実乃梨の葛藤の始まり、という二つの重要なターニングポイントになっていそうです。

 まずは大河について見てみましょう。エピソードを通じて祐作を前にしてそうとうデレが入っていますが、その実大河自身のセリフを追ってみると、竜児と2人だけの時でさえ、「祐作が好きだ」という直接的な言葉を一度も発していません。これはポイントの気がします。大河の祐作への恋心というのは、実は自分が打ちひしがれて立ち尽くしていた時に、手を差し出してくれたことに対する感謝の心に過ぎないのだ、と言いたいのではないかと。いわゆる一方通行な想いですね。一番「好き」に近いセリフが登場して、最も象徴的なのが、祐作の寝顔を見た後で星空の下を歩くシーンです。とらドラで象徴的に扱われる小道具たちの中でも、後半最も重要な役割を果たす竜児のマフラーは、15話のこのシーンで初登場するわけですが、これは大河を守護する竜児の象徴なんですね。そのマフラーが、大河にとって祐作は「最後の救い」だった、ということを確認するセリフに被せて大河に巻かれます。これこそ、大河の中の祐作が、完全に竜児に取って代わられた瞬間(あるいはそうなる暗示)でしょう。この後は、大河にとって(竜児とは対照的に)祐作が実は遠い存在だったことを印象づけるセリフが続きます。後はもう言わずもがな、多くの人が涙したであろう、青春の激情ほとばしる大乱闘のあと、会長の慟哭を前に、自身の恋の終わりを確認して崩れ落ちる大河がいるのみです。でも大河はすぐに吹っ切れ、両想いの2人のことを認めたことを伺わせる会長へのはがきというCパートのニクい演出が、物語前半をきれいに締めてくれます。

 一方の実乃梨に関しては、竜児と普通に接していた15話からうって変わって、17話以降のかなりやばい精神状態へのスイッチがこのエピソード内で入れられます。おそらく直接的なトリガーは、16話最後の亜美とのすれ違いざまに受けたセリフでしょうね。間接的には、大河と会長の乱闘かな?このシーンも初見では流してしまいますが、最後まで見たあとで確認すると、大河の生徒手帳にはちゃんと2枚目の写真が挟まっていて、奈々子の「下に(もう一枚写真が)」のセリフも入っていることがわかります。皆まで言わせず大河の生徒手帳を奪い取った亜美は、やっぱり意図的にやったのでしょうかね。ちょっと怖いし、実乃梨がかわいそうでもあります。

 しかし、文字通り会長に背中を押されなければ一歩を踏み出せない(王道の=ベタな演出でした)祐作は、つくづく5人の中でも一番のヘタレです。

 大河の最初の恋の終わりと共に、17話から新OPです。ちなみにこの後期OP映像は前期OPと比べると本当に対照的ですね。前期OPではタイトルバックで同じ方向に歩いていた5人が、祐作は脱落して、4人がすれ違いを暗示する別々の方向へと歩き出すところから始まります。前期OPに竜児と大河のツーショットは、
・竜児・祐作ペアと大河・実乃梨ペアがすれ違いざまに、竜児・大河のそれぞれが実乃梨と祐作を振り返る、2人の恋の象徴的なカット
・お互いが背中を向けあって共闘をイメージさせるカット
の2つがありました。ですが後期OPになると、大河と同じフレームに入ってくるのは前述の竜児のマフラーまでで、2人はそのまますれ違ってしまいます。このマフラーはこのOPのその他の竜児のカットでもかなり強調されてますね。残りの2人の関わりは、最後の部分でなにか寂しげに笑いかける竜児に対して、「好き」の歌詞にかぶせて複雑な笑顔を返す大河のシーンがあるのみ。最後の5人のショットは、それぞれの立場から竜児に対して思いを寄せる大河、実乃梨、亜美が竜児の方を向いているのに対して、祐作は横から見守っている構図になっています。よく考えられていますね。3人娘をうまく表している3つのオレンジ(寄り添う大河と実乃梨+亜美)から、竜児が1つを選び出して優しく見守る新EDもいい感じです。

 引き続くクリスマス編17話から19話は、大河の物語として見たシリーズ全編のクライマックスである19話に向けて、ものすごい密度で書かれます。スタッフもかなり気合いが入っている感じですね。このエピソードをまとめたキーワードとしては、大河の竜児に対する愛の完成、竜児の大河への恋愛感情の芽生え、実乃梨の葛藤の本格化と決断、となりそうです。要素てんこ盛りなのでどこからまとめていけば良いかよくわからないので、話ごとに追っていくと、まず17話は竜児の変化に焦点を当てているようですね。冒頭で、ドーナッツを頭に乗せたエンジェル大河に一瞬見蕩れる竜児が、シリーズ始まって以来初めて描写されます。それと注目は、問題のマフラー。エンジェル大河が巻いていたマフラーは、翌日は一日竜児が巻き、その翌日勉強会へ向かう道では、部屋を出る前インコちゃんに土下座するまでは竜児が巻いているのに、道中では既に大河の首に巻かれている、といったように、19話のクライマックスまでめまぐるしく持ち主が変化します。

 大河に注目してみると、祐作の放送に対する春田の暴言を聞き流しているのもそうですし、なにかと焚きつけてくる能登(この時点から木原が好きで、祐作に想いを寄せる木原の恋路を邪魔してるんですね)をよそに、祐作を前にしても、挙動不審具合がかなり和らいでいます。クリスマスだからよい子にしているということもあるのでしょうが、一番の理由は、まだ完全に緊張がとれないとは言っても、祐作が既に恋愛対象では無くなったこと表れではないかと思います。一方で、そういう様子を目にした竜児は、逆に今頃になって大河を失う可能性を実感し始めます。勉強会からの帰路では、大河がらみでは初めて、竜児が前髪をいじる仕草を見せます。この仕草は、竜児が実乃梨と絡む場面で印象的に、かつ限定的に提示されていた仕草ですので、竜児が恋愛について考えるときに無意識にでる仕草であると見て間違いないでしょう。ここにきてようやく、竜児は大河を恋愛対象として見始めた、ということなのでしょうね。この後木原の言葉が、竜児にさらに追い打ちを掛けます。18話の最初の注目点は、竜児の嫉妬を亜美が再確認する前半の場面でしょうか。大河を中心にした竜児と実乃梨のいびつな疑似家族関係を、もう一度明らかにします。亜美は本当にいい女ですね(後述)。そしてもう一つのポイントは、大河のサンタクロースへの憧憬でしょう。大河の、誰かに見ていてもらいたい、独りではないことを確認したい、という願いを竜児が認識して、19話のクライマックスがつながってきます。「サンタクロース」というのは、即ち「父親」と同義でもあります。19話で父親のスーツを託したり、「サンタクロースを待つ」というセリフを何度も口にするのは、深層心理では竜児に自分の元に来て欲しいと願っている、大河の想いの表出です。

 でもこの話で一番重要なのは、大河の星飾り(ベツレヘムの星=水星?)だということは誰も異論はないと思います。前述のサンタクロースの思い出にも出てきた、大河の「一番大切な物」。これが寓意の固まりになっています。まずは不幸な事故でこれを破壊してしまった実乃梨の視点では、この星は大河の「一番大切な思い出」であることに加えて、「一番大切な物」=「竜児」に重ね合わされています。「星を壊してしまったこと」=「大河の一番大切な人(=竜児)を奪ってしまうこと」。亜美の言う罪悪感そのものです。一方で、この星を実乃梨と一緒に直す竜児の「俺のためにやる」という言葉は、実乃梨にとっては「大河のためにやる」に脳内変換されているのかな、とも思います。すなわち竜児にとっては庇護の対象たる大河の象徴であり、その想いを実乃梨は拒否することは出来ないわけです。

さらに、2chのとらドラ!スレで読んだ、

673 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 Mail: sage 投稿日: 2010/02/06(土) 09:18:26 ID: hwi0CaOQ
☆=角5つ=マルオ・ばかちー・みのりん・竜児・タイガー関係が壊れても元に戻せる少し形は違えど必ず元に戻せるって事。
674 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。Mail: sage 投稿日: 2010/02/06(土) 09:53:09 ID: ZmiYl8f9
>>673
とらドラジオで言ってたね
今回の超電磁砲に間島さんが出てたよ
684 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。Mail: sage 投稿日: 2010/02/06(土) 14:35:57 ID: 3G/Vdmqc
>>673
あんとき1箇所だけ欠けてる星を見ながら、竜児と櫛枝が言い合うんだよな。

は脱帽です。「(実乃梨を示す角は)今は欠けてしまっているけど、大丈夫。何度でも直る(いつまでも俺たちは友達だ。)」っていうことですよね。

 そしていよいよ怒濤の19話。アバンの大河の言葉が混じった留守電録音からせつなく始まります。魔女っ娘やっちゃんが大河に香水をかける場面が、竜児が大河に見せる「蕩れ」表情の2番目になりますね。あとは物語終盤で重要な役割を果たす腕時計に注目しておけば、あとはもう胸がいっぱいでレビューも出来なくなってしまいます。いろいろすっ飛ばして、突っ込むとすれば
・どんなに着ぐるみしていたとしても、侵入経路から中の人が竜児だってことはバレバレだろう。
と、これだけは言っておきたいです。でもとにかく大河の幸せを祈らずにはいられない、という・・・。マフラーが全てですね。はしゃぐ大河は涙無くしては見られません。ただ、慟哭する大河を目にする実乃梨は何なんでしょうね。最初から学校に向かえよ!です。そしてやはりとらドラ!スレから、

521 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 Mail: sage 投稿日: 2010/02/03(水) 00:36:31 ID: l5idYWQ7
クリスマスの回で大河が家帰ってソファ座ってるときの
慣れないパンプスで出来た靴擦れのシーンがたまらなく愛しい件
522 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 Mail: sage 投稿日: 2010/02/03(水) 01:33:59 ID: 8rdPBTiq
靴ズレは19話を見返すたび毎度毎度うまいなあと思っちゃう
大人になろうと背のびして、なり切れないで傷つく子供の象徴

まだまだ書ききれないので続きます。その1はこちら
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